人種差別の流布・扇動を処罰する 「人種差別撤廃条約」
※ この分析記事は「外国人排除デモに反対する会」ブログからの転送です。このアクションは、「ヘイトスピーチに反対する会」結成のきっかけとなっています(参照1、2)。
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「人種差別の正当化や助長の扇動やその行為は、違法として禁止し、法律で処罰すべき犯罪である。」
こういう法制度が日本社会に存在していれば、4.11の「外国人排斥デモ」も全く違った形になっていたかもしれません。
日本も加入している「人種差別撤廃条約」の第4条は、人種差別の流布・扇動を処罰する義務を加盟国に課しています。
条文は次のように書かれています。
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第4条(人種的優越又は憎悪に基づく思想の流布、人種差別の扇動等の処罰義務)
「人種差別の正当化や助長の扇動やその行為は、違法として禁止し、法律で処罰すべき犯罪である。」
こういう法制度が日本社会に存在していれば、4.11の「外国人排斥デモ」はそもそも認められなかったでしょう。
日本も加入している「人種差別撤廃条約」の第4条は、人種差別の流布・扇動を処罰する義務を加盟国に課しています。
条文は次のように書かれています。
第4条(人種的優越又は憎悪に基づく思想の流布、人種差別の扇動等の処罰義務)
締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。
このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/jinshu/conv_j.html
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4.11の「追い出しデモ」の主催者(「在日外国人の特権を許さない会」)と参加者は、(b)の条項に引っかかる処罰されるべき「犯罪」を犯しているのではないでしょうか。
しかし日本政府は、条約には加盟しているが4条のaとbについては「留保」するという対応のため、「在特会」の活動も、差別として法的に問われることがありません。
処罰規定を設けることを避けてきた理由として、政府は次の点を挙げています。
第一に、憲法が保障する表現の自由との兼ね合いと言う問題があること。
第二に、現在の日本においては、既存の名誉毀損や脅迫罪などでこうした事例の処罰が可能であり、人種差別禁止の罰則規定付きの立法を検討しなければならないほどには、人種差別思想の流布や人種差別の扇動はないということ。
しかし、そもそも深刻な差別は存在しないという認識が、現実とズレています。
また「表現の自由」を恣意的に持ち出したところで、何が差別にあたるのかを実態や歴史的経緯にそくして理解する責任を、この人種差別撤廃条約を批准している国家が避けることはできません。
もちろんそのような態度は、差別問題の解決ではなく、差別の現状を無視することです。
わたしたちの課題を考える手がかりとして、国連人権委員会が2006年に公表した報告書があります。「人種差別撤廃条約」加盟国の差別撤廃にむけた取り組みの進捗状況を調査した同委員会特別報告者ドゥドゥ・ディエンは、日本での調査に基づいて次のような勧告を出しています。
「日本政府は、・・・日本社会に人種差別および外国人嫌悪が存在することを、正式かつ公式に認めるべきである。」
「政府はまた、日本社会における人種差別・外国人嫌悪の歴史的および文化的根本原因も正式かつ公的に認め、これと闘う政治的意思を明確かつ強い言葉で表明すべきである。そのようなメッセージは社会のあらゆるレベルで差別や外国人嫌悪と闘う政治的条件を作り出すだけでなく、日本社会における多文化主義の複雑な、しかし深遠なプロセスの発展を促進することになるだろう。」
【参考】
日本政府の見解など
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/jinshu/index.html
日本における現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する国連特別報告者の報告書(2006年1月)
http://www.imadr.org/japan/pdf/DieneReportJapanJ.pdf
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「人種差別の正当化や助長の扇動やその行為は、違法として禁止し、法律で処罰すべき犯罪である。」
こういう法制度が日本社会に存在していれば、4.11の「外国人排斥デモ」も全く違った形になっていたかもしれません。
日本も加入している「人種差別撤廃条約」の第4条は、人種差別の流布・扇動を処罰する義務を加盟国に課しています。
条文は次のように書かれています。
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第4条(人種的優越又は憎悪に基づく思想の流布、人種差別の扇動等の処罰義務)
「人種差別の正当化や助長の扇動やその行為は、違法として禁止し、法律で処罰すべき犯罪である。」
こういう法制度が日本社会に存在していれば、4.11の「外国人排斥デモ」はそもそも認められなかったでしょう。
日本も加入している「人種差別撤廃条約」の第4条は、人種差別の流布・扇動を処罰する義務を加盟国に課しています。
条文は次のように書かれています。
第4条(人種的優越又は憎悪に基づく思想の流布、人種差別の扇動等の処罰義務)
締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。
このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/jinshu/conv_j.html
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4.11の「追い出しデモ」の主催者(「在日外国人の特権を許さない会」)と参加者は、(b)の条項に引っかかる処罰されるべき「犯罪」を犯しているのではないでしょうか。
しかし日本政府は、条約には加盟しているが4条のaとbについては「留保」するという対応のため、「在特会」の活動も、差別として法的に問われることがありません。
処罰規定を設けることを避けてきた理由として、政府は次の点を挙げています。
第一に、憲法が保障する表現の自由との兼ね合いと言う問題があること。
第二に、現在の日本においては、既存の名誉毀損や脅迫罪などでこうした事例の処罰が可能であり、人種差別禁止の罰則規定付きの立法を検討しなければならないほどには、人種差別思想の流布や人種差別の扇動はないということ。
しかし、そもそも深刻な差別は存在しないという認識が、現実とズレています。
また「表現の自由」を恣意的に持ち出したところで、何が差別にあたるのかを実態や歴史的経緯にそくして理解する責任を、この人種差別撤廃条約を批准している国家が避けることはできません。
もちろんそのような態度は、差別問題の解決ではなく、差別の現状を無視することです。
わたしたちの課題を考える手がかりとして、国連人権委員会が2006年に公表した報告書があります。「人種差別撤廃条約」加盟国の差別撤廃にむけた取り組みの進捗状況を調査した同委員会特別報告者ドゥドゥ・ディエンは、日本での調査に基づいて次のような勧告を出しています。
「日本政府は、・・・日本社会に人種差別および外国人嫌悪が存在することを、正式かつ公式に認めるべきである。」
「政府はまた、日本社会における人種差別・外国人嫌悪の歴史的および文化的根本原因も正式かつ公的に認め、これと闘う政治的意思を明確かつ強い言葉で表明すべきである。そのようなメッセージは社会のあらゆるレベルで差別や外国人嫌悪と闘う政治的条件を作り出すだけでなく、日本社会における多文化主義の複雑な、しかし深遠なプロセスの発展を促進することになるだろう。」
【参考】
日本政府の見解など
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/jinshu/index.html
日本における現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する国連特別報告者の報告書(2006年1月)
http://www.imadr.org/japan/pdf/DieneReportJapanJ.pdf