目下の「在特会」のヘイトデモ及びそのカウンターに対する声明
2013年の年初ごろから、日本在住の朝鮮半島に出自をもつ人々を主に攻撃する「在日特権を許さない市民の会(在特会)」は、いわゆる「コリアン・タウン」が形成されている大久保地域で、頻繁に排外主義的なデモを行うようになり、またデモ後に「お散歩」と称して、付近の商店に嫌がらせ・暴行を繰り返しはじめました。
これに対し、国籍にかかわらない多くの市民が反対の声をあげ、東京ではしばき隊やプラカ隊のようなカウンター勢力が組織されています。在特会のようなレイシスト集団に対して市民が反対の声をあげるのは当然です。私たちヘイトスピーチに反対する会も、過去に何度か在特会に対するカウンターを行ってきました(*1)。
一方で、私たちはこのかんのカウンター行動に対してもいうべきことがあります。
このかんのカウンター行動の特徴は、日本における朝鮮半島文化の象徴的な場所としての大久保地域、あるいは鶴橋において、レイシズムの暴力が直接的に蔓延するのを防ごうとするものです。ところがその中に、レイシストに打撃を与えるためにあらゆる資源を動員することを要求し、障害差別・学歴差別・年齢差別・性差別などあらゆる暴言、差別に対して差別で返すという暴力をカウンターの現場に持ち込もうとする一派がいます(*2)。
また、「在特会に反対する」一点のみで結集した行動ということで、その中には在特会とほとんど変わらないような正真正銘のレイシストも、可視化されている範囲においても混ざっているのです。たとえば朝鮮学園の「無償化」に反対であることを公言する者など。
にも関わらす、このかんのカウンター行動は総体として、「反レイシズム」であることを自認しています。私たちはこれにたいして、大きな危険を感じています。
私たちは在特会に対してカウンターをおこなうさいも常に、在特会が差別の本丸ではないということを確認してきました。朝鮮学園「無償化」除外、性奴隷制としての「慰安婦」問題の否認、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視と制裁の政治(*3)、人権を無視した入国管理政策などの一連の差別政策は、在特会ではなくて日本政府そのものが行ってきたことであり、日本社会はそれを容認してきたのです。このかんのカウンターにおいては、日本政府がレイシズムを取り締まらないことが問題とされてきましたが、そうではなくて、日本政府自体がレイシズムを行っているのです。在特会は確かに、街頭であからさまな差別を行っています。無視していいとはまったく思いません。しかし、差別の本丸は在特会ではなく、日本政府、日本の「市民」社会であるのです(*4)。
こうした見地にたったとき、反レイシズムを反在特会に切り詰めるような運動(たとえばこのかんのカウンターの中には、たった一握りの市民(残念ながら、それが事実です)が在特会に直接反対したことをもって、日本の市民社会はレイシズム許容していないという「ウソ」を主張する者や、日本の「民度」の高さに感動し、日本に対するナショナル・プライドを高揚させてしまう者さえいる有様です。)は、根本的な構造の問題を隠蔽し、それを免罪し、反差別において大きな連帯をつくっていくことさえ阻むでしょう。
今、私たちはもう一度、反差別の線を引きなおさなければいけません。それは、在特会と日本社会の間にではなくて、差別的な日本社会の中枢に食い込むものでなければなりません。私たちも含めてこの社会の構成員がもつ日常的な差別意識について、そのような差別意識を問われることなく参加できる運動であってはなりません。もちろん最初からあらゆる差別意識を変革させることは無理だとしても、少しずつその意識をといていく志向性をもった運動でなければなりません。それは、中途半端で微温的な「仲良くしようぜ」ではなくて、批判や議論、さらには分裂や結合の可能性にさえ開かれた運動でなければなりません。個人主義を理由とした無責任を正当化するのではなくて、場をつくる責任を全体で持ち合うような運動でなければいけません。
このような問題意識のもと、私たちは反レイシズムをうたっている集団として、反レイシズムの運動に取り組んでいきたいと思っています。9月22日、東京で、「人種差別撤廃をもとめる東京大行進」というデモがあるそうです。反差別の趣旨に賛同し、わたしたちも参加しようと思います。どうぞ一緒に歩き、語りましょう。
*1
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-category-9.html
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-85.html
等々。また在特会だけではなく、同様の右翼団体である「頑張れ日本!」にも抗議を行いました。
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-65.html
*2
カウンターの現場で暴言を放っていたのはけして全員ではない、という報告を受けています。
他方で「ブス!ババア!」という性差別的な暴言などをカウンターの側から聞いたという報告も複数の方から受けています。
*3
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-category-7.html
(リンク記事には古いものも多く、現在の視点からは発展的に更新されるべきものもあるかもしれません)
*4
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-category-11.html
(リンク記事には古いものも多く、現在の視点からは発展的に更新されるべきものもあるかもしれません)
これに対し、国籍にかかわらない多くの市民が反対の声をあげ、東京ではしばき隊やプラカ隊のようなカウンター勢力が組織されています。在特会のようなレイシスト集団に対して市民が反対の声をあげるのは当然です。私たちヘイトスピーチに反対する会も、過去に何度か在特会に対するカウンターを行ってきました(*1)。
一方で、私たちはこのかんのカウンター行動に対してもいうべきことがあります。
このかんのカウンター行動の特徴は、日本における朝鮮半島文化の象徴的な場所としての大久保地域、あるいは鶴橋において、レイシズムの暴力が直接的に蔓延するのを防ごうとするものです。ところがその中に、レイシストに打撃を与えるためにあらゆる資源を動員することを要求し、障害差別・学歴差別・年齢差別・性差別などあらゆる暴言、差別に対して差別で返すという暴力をカウンターの現場に持ち込もうとする一派がいます(*2)。
また、「在特会に反対する」一点のみで結集した行動ということで、その中には在特会とほとんど変わらないような正真正銘のレイシストも、可視化されている範囲においても混ざっているのです。たとえば朝鮮学園の「無償化」に反対であることを公言する者など。
にも関わらす、このかんのカウンター行動は総体として、「反レイシズム」であることを自認しています。私たちはこれにたいして、大きな危険を感じています。
私たちは在特会に対してカウンターをおこなうさいも常に、在特会が差別の本丸ではないということを確認してきました。朝鮮学園「無償化」除外、性奴隷制としての「慰安婦」問題の否認、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視と制裁の政治(*3)、人権を無視した入国管理政策などの一連の差別政策は、在特会ではなくて日本政府そのものが行ってきたことであり、日本社会はそれを容認してきたのです。このかんのカウンターにおいては、日本政府がレイシズムを取り締まらないことが問題とされてきましたが、そうではなくて、日本政府自体がレイシズムを行っているのです。在特会は確かに、街頭であからさまな差別を行っています。無視していいとはまったく思いません。しかし、差別の本丸は在特会ではなく、日本政府、日本の「市民」社会であるのです(*4)。
こうした見地にたったとき、反レイシズムを反在特会に切り詰めるような運動(たとえばこのかんのカウンターの中には、たった一握りの市民(残念ながら、それが事実です)が在特会に直接反対したことをもって、日本の市民社会はレイシズム許容していないという「ウソ」を主張する者や、日本の「民度」の高さに感動し、日本に対するナショナル・プライドを高揚させてしまう者さえいる有様です。)は、根本的な構造の問題を隠蔽し、それを免罪し、反差別において大きな連帯をつくっていくことさえ阻むでしょう。
今、私たちはもう一度、反差別の線を引きなおさなければいけません。それは、在特会と日本社会の間にではなくて、差別的な日本社会の中枢に食い込むものでなければなりません。私たちも含めてこの社会の構成員がもつ日常的な差別意識について、そのような差別意識を問われることなく参加できる運動であってはなりません。もちろん最初からあらゆる差別意識を変革させることは無理だとしても、少しずつその意識をといていく志向性をもった運動でなければなりません。それは、中途半端で微温的な「仲良くしようぜ」ではなくて、批判や議論、さらには分裂や結合の可能性にさえ開かれた運動でなければなりません。個人主義を理由とした無責任を正当化するのではなくて、場をつくる責任を全体で持ち合うような運動でなければいけません。
このような問題意識のもと、私たちは反レイシズムをうたっている集団として、反レイシズムの運動に取り組んでいきたいと思っています。9月22日、東京で、「人種差別撤廃をもとめる東京大行進」というデモがあるそうです。反差別の趣旨に賛同し、わたしたちも参加しようと思います。どうぞ一緒に歩き、語りましょう。
*1
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-category-9.html
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-85.html
等々。また在特会だけではなく、同様の右翼団体である「頑張れ日本!」にも抗議を行いました。
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-65.html
*2
カウンターの現場で暴言を放っていたのはけして全員ではない、という報告を受けています。
他方で「ブス!ババア!」という性差別的な暴言などをカウンターの側から聞いたという報告も複数の方から受けています。
*3
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-category-7.html
(リンク記事には古いものも多く、現在の視点からは発展的に更新されるべきものもあるかもしれません)
*4
・http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-category-11.html
(リンク記事には古いものも多く、現在の視点からは発展的に更新されるべきものもあるかもしれません)
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